最近では、真新しい言葉ではなくなった感じがする二つの言葉です。
これ、時々、病院や医療関係の話になったときに聞いたりします。
「インフォームドコンセント」とは、医師が患者に対して診療内容などを十分説明し、患者はそれを理解した上で同意し、最終的に治療方針を決めていく・・・というものです。
もう一つの「セカンドオピニオン」は、一人の医師だけではなく、その他の医師の意見も聞いてみて、多角的に治療方針を探っていくものです。
実はこれ、法律の世界にもあるのです。
まぁ、弁護士に「セカンドオピニオンをお願いします」というのも変な話ですが、弁護士に相談する時に、一人だけではなく、色々な弁護士に相談するというのも一つの手段といえるのです。それは何故かというと・・・・
例えば、刑法199条には「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」としています。おそらく、刑法では一番有名な条文、殺人罪と言われるものですよね。
「人」を殺すと死刑又は無期、若しくは5年以上の懲役になってしまうという内容なのですが・・・・。一見、単純なものに見えますよね?人を殺したらダメなんでしょ?と。
でも、考えてみると、「人」って何でしょう?
「人」=人間ですよね。では、人間って何でしょう?これには人それぞれ、価値観で分かれてくるものなのです。
ここで、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊』という映画の話になります。この映画の世界では、人は電脳化といって脳を機械化していたり、義体と呼ばれる機械の体になっていたりします。こうなってくると、その人達は果たして人間と呼んでいいのか?と思ってしまいます。100%機械の体になってしまったら、それってアンドロイドと同じじゃないか・・・と。
ここで、もう一度。
「人」って何でしょう?
手が、足が義手、義足になっている人はもちろん人間です。では、半分機械になっている人は人間なのでしょうか?75%では?99%では?
人によっては99%も機械になっていたら、それは機械だと考えるでしょう。反対に1%でも人間の部分が残っていたら人間だと考える人もいます。なので、人によっては99%機械になった人を殺す(壊す)ことは、機械を壊しているので器物損壊罪(物を壊す罪のこと)だと言うし、他の人は人を殺しているので殺人罪なのだと言うことになるのです。
長くなってしまいましたが、法律とは実はこんな風にとても曖昧なもので、読む人によってその法律が使えるのか、使えないのかが変わってきてしまうものなのです。
なので、同じ話をしても、弁護士によっては「それは打つ手はないですね」という人もいれば、「この法律で何とかなるかもしれません」と答えてくれる弁護士もいたりするのです。
仮に、弁護士に相談しても納得できないのならば、納得できる答えを持っている弁護士に出会えるまで、色々な弁護士の意見を聞いてみるというのもテなんじゃないかと思います。そして、その話の内容を理解して、納得して同意し、訴訟にするのかどうかを相談者であるその人が決定していくことが最善なのかな・・・と思います。