弁護士の秘密兵器。

 前回からの「証拠」つながりで・・・・・・

 

 弁護士には証拠を集めるための秘密兵器があります。『弁護士会照会』、通称『23条照会』というものです。

 これは、弁護士が証拠を集めたいときに、その弁護士が所属する弁護士会に申請を出すと、弁護士会内で審査をして、弁護士会が証拠となるものの提出をお願いする制度です。

 

 例えば、ある交通事故について訴訟をする準備をしているとしましょう。交差点での交通事故で、互いに信号機が青だったと主張している場合、実際の信号機がどの色だったのかが問題になってきます。そこで、弁護士としては近くにある防犯カメラの映像や、信号機の色のサイクル表、当時の当事者の言い分が書かれた資料など、証拠となりそうなものを集めなければなりません。しかし、所詮、弁護士は一市民です。「証拠としたいから、防犯カメラの映像を見せてください」と言っても、おそらく見せてはもらえません。「警察だったら見せますが・・・・」と言われてしまいます。しかし、民事事件では警察は動いてくれません。そこで、弁護士は弁護士会照会を使います。

 弁護士は、「訴訟の準備で証拠を収集したいので、ここの防犯カメラの映像の開示を請求してください」と弁護士会に申請を出します。それを受けた弁護士会は、本当にその証拠が必要なのか等を検討して、必要と判断されると弁護士会会長の名前で防犯カメラの所有者へ映像の開示を要請します。所有者が防犯カメラの映像を開示すると弁護士会に送られるので、弁護士会はその映像を弁護士に送ります。すると、弁護士の手元にはその防犯カメラの映像が手に入る・・・・という訳です。

 

 この弁護士会照会は他にも、気象庁へ当日の天気の問合せや、インターネットのIPアドレスの照会など、様々なものに使われます。いわば、弁護士会照会は弁護士が証拠を収集するための秘密兵器なのです。

2017年04月10日